電子タバコで健康被害?アメリカで政府機関が警告!患者の声を紹介

テック・科学

最近日本でも普及してきた電子タバコ。英語ではe-cigaretteですが、日常会話ではヴェイプ(vape)と呼ぶことが多いようです。ヴェイプは米国では若者に急速に広まっています。大流行のヴェイプを使っていたら急に呼吸が苦しくなったという人が続出しているというニュースです。

FDA investigates 127 cases of seizures after vaping l ABC News

健康被害の報告

こちらは2019年8月末のシーマ・ハーマン(18)のInstagram投稿です。人工呼吸器につながれたハーマンは「ノー・ヴェイピングキャンペーンを始めたい」と紙を持っています。

(2020年10月19日:削除されたInstagram投稿をキャプチャ画像で置き換えました。)

抄訳:2年ほど前から激しい吐き気に襲われてきました。吐き気のせいで寝食もままならず、普通の生活が送れなくなりました。2週間前から呼吸が困難になりました。今は人工呼吸器につながれています。

原因はヴェイピングです。ヴェイプは「タバコの健康的な代替品」とうたわれていますが、誤りです。ニコチンでも大麻でも致命的な結果をもたらします。

こちらはDashVapesの動画です。DashVapesはヴェイプのブランドですが、YouTubeチャンネルを開設しています。

Another teen "hospitalized from vaping"

冒頭のInstagramにふれ、未成年の健康被害の例が多く報道されていることを指摘しています。ヴェイピングは10年ほど前から愛用者がいたが、近年になって健康被害が急増しているのはなぜか、と話しています。

米国ではタバコの代わりになるニコチン入りのリキッド以外に、合成大麻の成分を入れたリキッドも販売されています。THC(大麻の成分テトラヒドロカンナビノール)入りのカートリッジを販売している会社の多くは成分表や割合を表示していないので安全性が怪しいそうです。因果関係は調査中で、「ヴェイプのせいだ」と判断するには情報が少なすぎる、と話しています。

ドキュメンタリーを作ったYouTuber

Coffee Breakの動画です。彼はWhy Quitting Smoking Is Complicated (The FDA’s Secret Plan)という短編ドキュメンタリーを投稿していました。こちらはドキュメンタリーの続編です。

The "MYSTERIOUS" Vaping Illness Calmly Explained

安全性が確認され品質が安定した商品と、そうではない違法な商品がある。品質管理がされていないTHC入りの商品を闇市場で購入した人だけに被害が出ているのかも?と話しています。

調査結果

イリノイ州とウィスコンシン州での電子タバコの使用に関連する肺疾患の論文によれば経緯はこうでした。

2019年7月10日までの30日間に、ウィスコンシン小児病院(Children’s Hospital of Wisconsin)に5人の少年が呼吸困難を訴えて入院し、うち2人は挿管・人工呼吸となった。CT検査で4人に両肺のスリガラス影を認め、感染症など他の原因は発見されず。全員が症状の始まる数日もしくは数週間前に電子タバコを使っていた。

病院から報告を受けたウィスコンシン州保健局(Wisconsin Department of Health Services)とイリノイ州公衆衛生局(Illinois Department of Public Health)の調査で判明した28名1の患者の大半が男性、年齢は16歳から53歳で中央値は19歳でした。患者の約60%がニコチン、約80%がTHCを吸っていました2

こちらの編集部による解説によれば、電子タバコにはニコチン以外に、有害な有機化合物・金属・病原菌由来の物質などが含まれていると指摘されています。

アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の発表によれば、2019年9月6日時点で電子タバコによる肺疾患の疑いのあるのは450人です。CDCはすべての電子タバコの使用中止を呼びかけ、FDAはTHCおよびCBD(大麻の成分カンナビジオール、カナビスオイルに含まれる)商品の購入を控えるよう呼びかけています。

シーマ・ハーマン

冒頭で紹介しているシーマ・ハーマンのその後です。退院しインタビューに答えています。

Teen was in the fight for her life after vaping a cartridge a day I Nightline

タバコに換算すると1日1箱分のニコチンを摂取していたそう。彼女は16歳からヴェイピングしていました。年齢確認がゆるく簡単に購入できたと話しています。これからは反ヴェイピング活動をするそうです。

原因物質特定か(2019年11月11日追記)

2019年11月8日、CDCは患者29人の気管支肺胞洗浄液(BALF)すべてから酢酸ビタミンE (vitamin E acetate)を検出したと発表しました。これが原因物質であることが疑われています。ニューヨーク州保健当局によれば、大麻の成分の入った電子タバコのほとんどすべてに添加物として酢酸ビタミンEが多く含まれていたそうです。

参考:CDC says stop vaping as mystery lung condition spreads
ARDS
Vaping Illnesses: Consumers can Help Protect Themselves by Avoiding Tetrahydrocannabinol (THC)-Containing Vaping Products
Michigan becomes first state to ban flavored e-cigarettes

  1. 8月27日時点。もっと多くの患者にも同様の症状があったが感染症などの可能性が排除できない。診断された患者でも診断名は様々で、急性好酸球性肺炎、器質化肺炎、リポイド肺炎、びまん性肺胞傷害(DAD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、びまん性肺胞出血、過敏性肺炎など。
  2. ウィスコンシン州とイリノイ州では大麻は非合法なので、患者たちは闇で流通しているリキッドを使っていた。
タイトルとURLをコピーしました