エーラス・ダンロス症候群YouTuberマルティナと支える夫サイモン

人物紹介

日本は吉祥寺在住の仲良し夫婦YouTuberサイモン・アンド・マルティナを紹介します。

2人はトロント大学在学中から交際を始め結婚。その後、韓国に移り住んで英語教師として働きながらEat Your Kimchi(イートヨーキムチ、現在はサイモン・アンド・マルティナ)というチャンネルで活動を始めます。韓国での生活から食文化、K-Popアイドルの生活実態などさまざまな視点で動画を投稿して人気になります。K-Popアイドルと共演した動画も投稿していました。

2016年からは日本に移住し「イートヨーすし」シリーズを開始しました。こちらも日本各地の食文化、生活のあらゆることや海外旅行まで独自の視点で紹介しています。YouTube登録者は140万人。10年以上2人でYouTubeで活躍しています。

エーラス・ダンロス症候群

マルティナは難病エーラス・ダンロス症候群であることを公表しています。

エーラス・ダンロス症候群とは、皮膚や関節などが通常よりも伸びやすく、もろい病気です。様々なタイプがありますが、皮膚が裂けやすかったり、脱臼を起こしやすかったりします。脱臼に伴って痛みが慢性化したり、最終的には寝たきりになってしまうこともあります。血管がもろく、出血が起こりやすいこともあります。血管や臓器の破裂で突然死する方もいます。遺伝性の病気で、今のところ治療法は見つかっていません。

今回はエーラス・ダンロス症候群を患いながらも、クオリティの高い動画を投稿しているマルティナと彼女を支えるサイモンの日常を中心に動画を紹介します。

病気についての動画

2014年の年末から2015年の年明けまでエーラス・ダンロス症候群による症状の悪化と治療法の模索のためしばらく動画投稿が不規則になっていました。エーラス・ダンロス症候群は分かりやすく症状が目に見えない1ので、健常者のように扱われてしまう困難も話しています。

この動画では薬(トラマドールとメロキシカム)を服用するも、薬が合わず胃から出血したこと、トラマドールの離脱症状(副作用)で苦しんでいたことを打ち明けています。

Living with Chronic Pain and Ehlers-Danlos Syndrome

普段の動画ではマルティナはとても明るくポジティブですが、実際は慢性的な痛みと闘いながら、生活していることを話しています。痛みに苛まれ身動きがとれなくなりそうな日でも、クリエイティブな活動に思考を転化して乗り切っていると話しています。

動画を見たあと視聴者の皆さんには暗くならないでほしい、自分たちの動画を、困難に直面したときに考え方や受け止め方を変えるきっかけにしてほしいと話しています。

#buildaladder

buildaladderとは日常の生活が困難な時でも、はしご(ladder)を一段一段登るように少しずつ歩みを進めていこう、という活動です。

How I Deal with Chronic Pain

マルティナが寝不足気味に起きてくるところから動画は始まります。関節が脱臼した激痛で夜に目を覚ますことがあり、寝不足になります。ベッドから一歩出るのも少しずつで良いのです。階段もゆっくり一段ずつ降りていきます。一歩、一歩、少しずつ。

体の痛みに屈して一日中、楽なジャージで過ごしたくなりますが、気持ちが晴れるような明るい服を着て外出します。

近所を散歩して咲いている花に見とれたり、お気に入りのコーヒー屋で休憩をしています。外に出ていろいろな人やものを見て気分が少し楽になっていくと話しています。積極的に気分転換をする大切さを話しています。

インスタの投稿です。

雨の日、敷地内の道までしか歩みを進められず落ち込んで足元を見たそうです。きれいな桃の花びらが流れています。苔が生えた古い側溝にも、どこにでもきれいなものはあると書いています。どんなに症状が辛いときでも、少し視点を変えて世界を見ると美しいものに溢れていると気付きます。

マルティナのうつ

エーラス・ダンロス症候群は慢性的な痛みを伴います。そのため、うつ病を併発しやすいのです。骨折や強い腹痛を経験した方は、普段と思考や性格が変わってしまうのは分かりますよね。痛みが治れば、また普段の性格に戻れます。けれどエーラス・ダンロス症候群は決して完治しません。マルティナにとって激痛は日常で、生きている限りずっと続くのです。

An Open Talk About My Depression

こちらの動画では、マルティナがどのようにしてうつと向き合っているかを話しています。

マルティナは自らの命を絶とうとした経験があります。慢性的な痛みがあまりにも辛く、症状は悪化の一途であることに人生を悲観したのです。しかし、一命をとりとめ発想を変えました。

「なぜ、タトゥーを入れなかったんだろう?」、「なぜ、髪の毛をピンクにしなかったの?」、「なぜ、日本に住まなかったんだろう?」と、ずっとしたかったことを実現しようと決めたそうです。最初はネットで興味があったことを検索したり、ネットで交流したり、実際に外出して人に会ったりして、少しずつ活動や興味の範囲を広げていきました。

そうすることで少しずつ、うつの底からはしごを一歩一歩登っていくのを感じたそうです。

おばあさんになったとき「1日中泣きながらネットフリックスを観ていたのが、人生で最高のときだった!」なんて言うのは嫌だと思ったそうです。無理をしたせいで翌日動けなくなってもクラブに行ってサイモンと踊ったり、旅行に行って普段はできない経験をしようと決めたそうです。

しかし、主治医の先生は「安静にして無理をしなかったら翌日激しい痛みに苛まれることもありません。プールで歩くのが良いよ。」と指導します。でも、言う通りにしていても激痛はあるし、うつのままです。貴重な体験を重ねることで少しずつ、大切な思い出を作れます。その思い出が病を乗り切る燃料になるとマルティナは話します。

サイモンの支え

エーラス・ダンロス症候群を患っているマルティナを支えることが人生の目的であると話すサイモン。夫としてマルティナと一緒に病と闘っています。

As a Spouse of Someone in Chronic Pain

慢性の病を抱えたパートナーと過ごすにあたって、辛いことや暗いことはいくらでも列挙できますが、サイモンはあえて三つ良い点を上げています。

ひとつめ:共感力が鍛えられ、忍耐強くなった。
マルティナはサイモンの妻であり親友です。普段いかに優しく、ほのぼのとした性格であるか理解しています。マルティナが不調のときは察知して「お薬飲んだ?アイスパックいる?今日は雨だから、不調になりやすいよね。」といたわれるようになったそうです。

ふたつめ:とても冷静になった。
緊急外来で勤めている医師のように、冷静に予期せぬトラブルに対処できるようになりました。マルティナの急激な容態の変化を見ても、パニックに陥らなくなったそうです。おかげで仕事の際も、何が起こっても平静を保てるようになりました。

みっつめ:とても楽観的になった。
どうしようもなく、マルティナの体調が悪化するときもあります。けれど、その状況に囚われず「今、何を学んだら良いんだろう?どうしたら良い変化にできるだろう?もっと強い人になるために僕はどうしたら良いんだろう?」と考え方、捉え方を変えるようにしているそうです。

サイモンの言葉使いや気遣いに、マルティナに対する深い愛情を感じます。

日常

こちらは日本で過ごす日常を動画にしたものです。

A Day in My Life: Tokyo, Japan

朝、サイモンがコーヒーを淹れたり、スロークッカーに晩ご飯の材料をセットしています。マルティナが目覚めたとき、コーヒーの匂いに包まれるようにベッドサイドにコーヒーを持っていきます。

サイモンはウェイトトレーニングをしています。いつか、マルティナが動けなくなったときにサイモンが抱えてあげられるように鍛えているのです。

起きてきたマルティナが編集の方法を紹介しています。1日6時間から8時間ほど編集に費やしているそうです。

マルティナが疲れて落ち込んでいたので、2人でコンビニへ行って「ハローキティまん」を食べて気分転換しています。これもbuildaladderです。

家に帰った2人は金曜の夜なので、ワインを飲みながらテレビを観てゆっくり過ごして、動画は終わっています。チャンネルに投稿している動画では旅行に行って各地のグルメを食べ回っている2人ですが、普段は質素で平凡な暮らしをしていると話しています。

病や痛みとの向き合い方は人ごとにさまざまです。動画ではマルティナとサイモンの向き合い方が語られています。慢性の病を抱えて生まれた不公平を嘆くこともできますが、マルティナもサイモンも気丈に向き合っています。グルメ動画で高級寿司を食べているときも、100円のコンビニアイスを食べているときでも、2人が心底嬉しそうにしているのは日常のすべてに幸せを感じる力があるから(日々、幸せ探しの努力をしているから)だと思います。

参考:
Eat Your Kimchi

  1. Invisible diseaseインビジブル・ディズィーズはIBS過敏性腸症候群やクローン病などの、その病気にかかっている人がぱっと見では病人とわかりにくい病気のことをいいます。エーラス・ダンロス症候群もそのひとつです。
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