炎上続きのアメリカYouTube界。人気YouTuberの過去の動画や発言が掘り起こされ非難される、キャンセルカルチャーが隆盛期を迎えたようです。

シェーン・ドーソンとジェフリー・スター
批判を浴びたインフルエンサーは過ちを認めて引退するのでしょうか? いいえ、もちろん図太く居座ります。それどころか、批判の矛先をそらし、視聴者を味方につけてしまいます。
今回は炎上真っただ中のシェーン・ドーソンとジェフリー・スターの謝罪動画を元に、有名インフルエンサーはどのように批判回避をするのかテクニックを見てみましょう。
シェーン・ドーソンの謝罪
数年前のコメディ動画での人種差別発言を発端に批判され、動物虐待疑惑やペ▼フィリア疑惑が浮上しているシェーン。ハリウッドの大物セレブスミス家にも批判されています。不適切な動画が次々に掘り起こされてソーシャルメディアで拡散しています。
批判されているのはこのような動画です。Nワードを言い、ブラックフェイスをしています。

(2020年7月17日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
12歳のファンの口にキスをしています。
Shane Dawson “jokes” about having kissed about five 12 year olds, followed by a video of him kissing a girl who’s clearly underage and saying “I’m going to jail” and another where the girl is confirmed to have been 12 years old. pic.twitter.com/ZAzOmCKSSu
— J⭐+🐷 = DANGERS TO SOCIETY (@KRMGDN) July 4, 2020
こちらが2020年6月26日に公開された謝罪動画です。
シェーンは、ジェナ・マーブルスの釈明動画に触発されたと話しています。
シェーンの批判回避はこのようなものでした。視聴者からの反論も一緒に紹介します。
- 問題発言、問題行動はすべて冗談だったと言う。セリフは「面白いと思ったからやっただけ。」——差別は笑えないのでは?
- 過去の自分の行動を批判してみせる。セリフは「ペ▼フィリア的な冗談を言ったのは、最低で気持ち悪い。」——最近までその動画で稼いでいましたね。
- 自分を罰するふりをする。セリフは「僕のキャリアは破滅して当然です、誰にも許してもらえなくても仕方ない…」など。——典型的な同情を買う方法。
- 不遇の子ども時代やトラウマを言い訳にして哀れを誘う。セリフは「子供の頃、トラウマを経験して苦労した。」——これも典型的な同情を買う方法。
- 問題と自分を切り離す。セリフは「私は、あのような過ちを犯す人は嫌いです。」——自分がした行いの責任はとらないの?
- 他人のせいにして、自分の行いを正当化する。セリフは「友人は面白いと言った」など。——当時すでにシェーンは大人で、自分で判断する能力があったはずでは?
- 人種差別主義者ではない、と主張する。——しかし、差別主義者として有名なジェフリー・スターやトリシャ・ペイタスと仲良し。
- 人種差別的なコント動画で金儲けしてきたことには言及しない。
shane dawson deleting comments on his apology video but heres one that fr just pointed out everythin that he did wrong pic.twitter.com/gp4LUFtnxP
— (♡´͈༝`͈)ฅ˒˒ (@catgirlnina) June 28, 2020
シェーンの動画は公開後、アメリカとカナダでトレンド1位になっていました。完璧な批判回避テクニックのように見えますが、執筆時40%の低評価がついています。
視聴者の理解は得られなかったようです。
ジェフリー・スターの2017年の釈明動画
ジェフリー・スターも過去に人種差別発言が批判され、2017年に釈明動画を公開していました。彼が動画でどのようなテクニックを使ったかを見てみましょう。
YouTuberのディアンジェロ・ウォレスは、2017年以来のジェフリーの行動を検証した動画を制作中です。内容をTwitterで公開していました。
動画は忘れて、とりあえずTwitterで内容を紹介するよ。
みんなジェフリーの過去を擁護するのが好きみたいだから、現在のジェフリーに重きを置いた。
すると、2017年の動画で変化を誓った彼の行状は、悪化しているとわかった。こちらがタイムラインです。
Forget a video, I’m putting this all on Twitter right now.
Since folks love excusing Jeffree Star for his past, I decided to look at his present.
Turns out, starting from the 2017 video where he vows to change, he’s only gotten worse. Here’s a timeline.
(SHARE THIS THREAD) pic.twitter.com/UrCOBhF9vt
— D’Angelo Wallace (@dangelno) June 30, 2020
とても良いスレッドなので、興味がある方はぜひご覧ください。
2017年のジェフリーの謝罪動画を見たディアンジェロの分析を紹介します。
1. 否認する
ジェフリー・スターの人種差別的行動を謝罪している動画の問題点は…彼は人種差別主義者ではなかったと主張しているところ。
彼の理屈は、「精神的な闇にいた時期に人種差別発言で人を攻撃しても、本当の人種差別ではない」らしい。
僕が落ち込んでいたらHuluを見るけどね。わからない!
The issue with Jeffree Star’s video apologizing for his racist actions is that… he insists that he wasn’t actually being racist.
According to him, lashing out from a dark place by being racist isn’t actual racism.
When I’m in a dark place, I just watch Hulu. Can’t imagine! pic.twitter.com/iJzJt9Z7fH
— D’Angelo Wallace (@dangelno) June 30, 2020
2. 自分こそ傷つけられたと主張する
ジェフリーは謝罪動画で謝罪するよりも、人々が自分の過去の動画を掘り起こすのがいかに不愉快かを説明するのに多くの時間を割いている。
これが、彼の過去を取り上げるとジェフリーの熱狂的ファン(stan)が騒ぎだす理由。もっともひどい目に遭っているのはジェフリーだと思わせたいようだ。
J* actually spends more time in his apology video explaining how unhappy it makes him that people bring up his past than he spends actually addressing racism.
That’s why his stans get so defensive when you acknowledge his past; J* made it seem like HE’S the most affected by it. pic.twitter.com/Kb1zZukUdQ
— D’Angelo Wallace (@dangelno) June 30, 2020
3. 約束する、そして反故にする
ジェフリーが唯一約束したのは「怒って反論しないこと」と「ケンカに加担しないこと」だった。
その通りなら、信用したでしょう。彼がそう言ったのなら、あの謝罪動画はごまかしでしかない、だって2017年から何も学んでないから。
謝罪動画は黒歴史になった。
The only behavior Jeffree Star promised to change was to stop “clapping back” and fueling drama.
If that’s the case, I’ll take him at his word. And if that’s his word, then his entire apology video is fake, because CLEARLY J* didn’t stick with his 2017 advice.
Aged like milk. pic.twitter.com/3A39bqsTOF
— D’Angelo Wallace (@dangelno) June 30, 2020
ジェフリーが2019年にジェームズ・チャールズやその家族までも口を極めて罵っていた姿からすると、2017年の謝罪動画から何も変わっていないとわかります。

ジェフリーは人々の感情に訴え、同情を買うのが得意なようです。言葉の限り謝罪をしても行いが変わっていないなら、謝罪していないのも同然です。
2020年7月4日に公開されたディアンジェロの動画です。ジェフリーの過去3年間の言動を検証して、「ジェフリーの話すことは何も信用できない」と結論づけています。
終わったYouTuberたち?
最近、批判されるYouTuberが多いので一部を紹介します。
ギャビー・ハナ、ジェフリー・スター、ジェームズ・チャールズ、シェーン・ドーソンです。

(2020年10月25日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
家族チャンネルのエースファミリー、ローガンとジェイク・ポール兄弟、ニキータ・ドラゴン、タナ・モジョです。

(2020年10月25日:削除されたツイートをキャプチャ画像で置き換えました。)
最後にTwitchストリーマーのフェリックス(xQc)の投稿を紹介します。
アイツも潰せ、コイツも潰せ。アレは不快だ、コレも不快だ。アレも削除しろ、コレも削除しろ。自宅待機中なのに、このままではネットで何も楽しめなくなってしまう。
CANCEL THIS, CANCEL THAT. THIS OFFENDS ME, THAT OFFENDS ME. DELETE THIS, DELETE THAT. SOON WE’RE GONNA BE STUCK INSIDE WITH NOTHING TO ENJOY ANYMORE ON THE INTERNET. pic.twitter.com/qBqaE1vIcX
— xQc (@xQc) June 26, 2020
フェリックスの言うように、過去の発言を掘り返して攻撃する動きがやや行き過ぎているように感じられることもあります。しかし、シェーンとジェフリーのようなごまかしの手口を使うインフルエンサーがいる限り、まだこの流れは続きそうです。謝罪せず、批判を無視していると、より炎上します。
Image: Dr. Demonic, CreepShow Art, Hans Eiskonen